| 芝生の上での形講習 |
9月に入り、帰国準備を始めるとあっという間に日が過ぎ、気がつけば半年間の英国生活も残りわずかになってしまいました。「英国剣道雑感」もこれが最後です。最後の話題は、弘道館道場主催「角正武先生剣道セミナー」です。
地元イギリス選手団の活躍で大いに盛り上がったロンドン・オリンピック。その興奮も冷めやらぬ8月17日~19日、ロンドン郊外ワットフォードで行われた上記剣道セミナーに参加してきました。このセミナーはPaul Budden先生(教士七段)を道場主とする弘道館道場が毎年この時期に行っている剣道セミナーです。聞くところによれば、このセミナーはイギリスのみならずヨーロッパ中の剣道愛好家たちが毎年楽しみにしているようで、主催者によると、今年は南アフリカからも含め、なんと26か国、総勢60名を超える参加者になったそうです。
主任講師の角正武先生(範士八段)は、福岡教育大学教授として研究・教育にあたる一方、全日本選抜剣道八段優勝大会などで数々の名勝負を演じた日本を代表する剣道家の一人です。その角先生が25年前に全剣連の派遣で半年間パリで剣道の指導にあたっていた頃、先のBudden先生がその剣道に感銘を受け、以来、自身が始めていたセミナーの専任講師として、25年間毎年イギリスにお迎えして開催しているのがこのセミナーです。
今回のセミナーでは、角先生の他、日本から田代潤一先生(教士八段)、濱田英樹先生(教士七段)、イギリスからPaul Budden先生(教士七段)、Terry Holt先生(錬士七段)、松田和世先生(錬士六段)といった方々が講師として指導にあたりました。(実は私も、今回のセミナーには一般の受講者として参加したつもりでしたが、当日の朝、突然、Budden先生から講師を依頼され、一講師として名を連ねることになりました。)
セミナーの内容は、角先生総指揮による早朝稽古・竹刀稽古・形講習・審判講習・試合・夜稽古、Budden先生と松田先生による「イギリスの剣道の歴史」についての講義、田代先生による「防具の手入れ」の実演等、多岐にわたるものでした。
一連の講習の中で印象深かったのは、まず第一に、角先生の長年の経験を生かした外国人を対象にした剣道の指導法でした。私が任されたグループ別の形講習で、私が理合いの説明に困った時に助け船を出していただきましたが、その解説が実にわかりやすく、外国人だけでなく、私自身も大いに勉強になりました。後で伺った話によると、常にどうしたら外国人に納得いく説明ができるかを考えているそうです。そうした剣道指導に対する真摯な姿勢が、25年間、イギリスに招かれ続ける理由なのかもしれません。また、Budden 先生と松田先生の講義も印象に残るものでした。講義は、ロンドンに残る古い資料をもとにイギリスにおける剣道の歴史をわかりやすく解説したもので、大いに興味をそそられるものでした。そしてもう一つ、印象に残るというよりも驚かされたのが、田代先生の防具の手入れの実演でした。汗の塩で白くなった面と小手を大きなタライに入れ、洗剤とブラシで丸洗いです。私は防具の丸洗いをイギリスで見るとは思いませんでした。
このように剣道講習そのものも楽しく充実したものでしたが、泊りがけの講習会の最大の魅力は、何と言っても第二道場(もちろんイギリスではパブ)での交流会ではないでしょうか。ビールを飲みながら、講師の先生方や各国からの参加者と交わす会話は夜遅くまで続き、話題は剣道だけでなく各国の文化や思想にまで及びました。こうした交流も、日本ではなかなか味わえない格別な時間で、ここでもまた「交剣知愛」を実感することとなりました。
今回のセミナーに参加し、一流の先生から剣道指導の在り方の一端を学ぶことができたと同時に、また多くの外国人剣道家を新たな友人とすることができました。この経験が、帰国後の私の剣道人生にまた新たな視点をもたらしてくれることは間違いありません。セミナー主催者のPaul Budden先生、角正武先生をはじめとする講師の先生方、そしてセミナー参加者のみなさん全員に感謝申し上げます。ありがとうございました。
剣道万歳!! Kendo 万歳!!
(参考:英国弘道館ホームページ http://www.kodokankendo.org/)
これまで拙い文章につき合っていただきありがとうございました。今月末には帰国します。話の続きは1月3日の新年会にいたしましょう。
| Budden先生と |
| 講師陣 |
| 田代先生の防具の手入れ講習 |
| 講習の様子 |
| 交流会 |
飯野君へ
返信削除半年間の英国生活、ご苦労様でした。また、5回も投稿いただきありがとう。興味深く拝見しました。話の続きは、来年の新年会と言わず、帰朝報告会を企画いたしますので、是非、その時によろしくお願いします。
廣兼(72期)
飯野さん、最終報告を繰り返し読ませていただきました。またとない時期に素晴らしい出会いと経験をされて良かったですね。うらやましい限りです。飯野さんは、文章表現が上手いから情景などがよく理解できました。報告ありがとうございました。新年で会えるのを楽しみにしています。 石川6期
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