■6月19・20日、三年生は高校生活最後の試合、インターハイ予選が行なわれた。団体戦は第7シードでの出場である。1回戦は不戦勝。2回戦は新島学園に勝数3、総本数6本。相手は同0人0本(以下6/3 : 0/0と記述)完勝ではあるが、引き分けの二人が慎重になりすぎの感がある。3回戦は太田東校に8/4 : 1/0でまたもや完勝である。今回は全員に積極的な攻めと打突が見られたし、剣道レベルから推しても、妥当な内容である。さあ、次こそが本番、第2シードの宿敵前高とのコート決勝である。同校監督は本年4月、数々の実績を残したN先生が高女に転出。代わって就任したのが、数年来同校と決勝対決を繰り返して来た、ライバル太田商のA監督である。このA監督の「勝ち」に徹した指導方法はつとに有名であり、4月就任から僅かの間にも選手たちに与えた影響は大きいと見られ、「打たせない、堅い守りの中から勝ちを拾いに行く」剣風に変化しつつあるようだ。これは益々手強いぞ!■さあ、いよいよ先鋒戦開始だ。1分半を過ぎた頃か?思い切り良く両者共に面に跳んだが、一瞬相手のほうが早く打突部位を捉え、相面勝負に負けてしまう。う~ん、致し方ない。当方の先鋒は思い切りの良さが持ち味だ。相手が優れていたと言うしかない。二本目に託そう。数合の後、再び相手が面に跳んだところを出小手で迎え打つ。ああ~惜しい「拳」に懸かって一本にならない。その後は両者とも決め手なく一本負けとなる。続く次鋒戦、相手は一年生とは言え、鳴物入りで入学した選手だ。高崎支部で主催している(旧)カッパピアの県下小学生大会では1年生から6年連続優勝を果たしている。いや!何の、こちらの選手も同大会で優勝経験があるぞ。しかし、当方は飽食時代の申し子らしく、高学年からオーバーウェイトになり、跳躍力にやや難があるのも事実である。さあ、試合は始まった。相手は、果敢に攻撃してくる。当方は守勢に回り、積極性が無い。「そんなに手元をあげていると隙を突かれるぞ」と心配しているところを「案の定」一歩攻められ、左拳が上がりきったところを逆胴に仕留められ、またもや一本負けとなる。もはや後がない中堅戦。最低でも引き分け、上手くいって一本勝ちと行きたい所だが、前二人のビハインドは大きい。時間も後半に差し掛かり、一か八かの面に跳んだところを返し胴に切られてしまう。残り時間もあと僅か、いよいよ絶体絶命。どうにか突破口を開いてくれ。そう、そこで逆胴だ。観戦していた筆者と「狙いがピッタリ」の技を放ったが、もう一歩の踏み込みが足りない。残念、制限時間終了の笛が鳴った。
■もはや、団体戦の決着は付いてしまった。残された興味は後衛陣がどんな内容を残すかだ。副将戦、相手は過日の関東大会に個人戦出場した実力者。しかし、こちらも運動能力からすれば本校ピカイチの選手。伸びて来る「跳び込み面」には定評がある。双方ともに小気味良い攻防が続く。最初の山場、両者ともに小手面を放つ。惜しくも打突部位に届かないが良い技だ。4分間の中程を過ぎた頃か?今度は相面に跳ぶ。打突部位を捕らえた。よし、行ったぞ!と思いきや、判定が割れた。高々の赤に一本、前高の白に二本旗が上がる。おそらく誤審だろう?筆者の欲目だけではない筈だ。当の選手も唖然とした表情。相面は判定が最も難しく、また審判の位置や目線の高さによっても随分と印象が違うものだ。それは理解できるが、仕掛けたのも当方、相手は遅れて迎え打っている。当人たちが一番良くわかっているはずだ。しかし残念だが判定には従うしかない。・・・ここで腐ってはいけないぞ!投げやりになると勝利の女神に見放されるぞ・・・・・と心の中で危惧していたが、彼はその後も冷静な試合運びを見せてくれた。惜しい出小手あり、ファイトあふれる体当たりあり、最後まで良く戦ったが結果は又も一本負けとなる。大将戦、相手は又も手強い、二年・三年時団体・個人ともに関東大会に出場しており、本大会でも個人優勝候補No,1だ。ところが予想外の展開、開始1分頃だろうか?両者「面」の打ち合いの後、振り向きざまに相手選手が又も面に跳ぶ所を上段より出頭の面を捉える。オオッ~やった、今度こそ文句なしの一本だ。よし二本目もその調子だ。しかし、余勢を駆って一歩間を詰めて面を打とうとしたか?不用意に竹刀が下がったところを今度は逆に面を痛打され、いよいよ最後の勝負となる。数合の後、一本目の再現となるような出頭面が炸裂し、天晴れ殊勲の勝利を収める。そうだ、上段は相手の攻撃を受け流していたら、永遠に強くはなれない。よくぞ、出頭を押さえた。これこそが上段の理想とするところだ。
■数字上では2/1 : 5/4であるが、内容は大善戦と言えよう。優勝した前高に臆することなく技を繰り出し、精神的に「受け」に回ることなく試合が出来た事は大きな進歩であった。これで3年生は引退となり「受験街道まっしぐら」となるが、高々での1,000時間を越える稽古、何万本と振った竹刀、何百リットルもの流した汗は決して無駄にはならない。きっと受験生活や、いや、それ以降の長い人生での、バックボーンと成り得るだろう。健闘したレギュラーは勿論の事、控えに甘んじながらも最後まで頑張った三年生全員に惜しみなくエールを送ろう。(観戦記:藤木)
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